1950年に25億人であった世界人口は、現在(1996年)58億人(UNPPA,The
State of World Population 1996)に増加している。およそ半世紀のあいだに2.3倍になったわけで、その増加率は年率1.8%となる。このように第二次世界大戦後の世界人口の増加は、人類の長い歴史のなかで前例のないものであった。地球上の人間の数が増加をはじめたのは、おそらく、人類が定住して農業を営むようになってからのことであり、紀元前何千年という遠い昔のことであろう。しかし、その増加の速度は決して早いものではなかったし、自然条件の影響によって、しばしば増加と減少が繰り返されるという状態であった。1650年頃の世界人口はおよそ5億人と推定されているが、この頃から持続的な増加が始まった。とくに18世紀中頃に農業革命つづいて産業革命が始まってから人口増加のテンポが早まった。1750年におよそ8億人、1850年に13億人、そして1950年に25億人になった。1650年から1950年まで300年間に5倍にも増加したわけであるが、その増加は年率0.5%に過ぎなかった。それゆえ1950年以降現在までの増加率(年率1.8%)が人類史上異例の現象であることは明かである。